出会うもの全てが砂の中のダイヤモンドに見える病
昨日は仕事で帰宅が遅くなってしまい、夕飯を買って帰ろうと最寄り駅の1つ手前で地下鉄を降りて、子供達の好きな美味しいハンバーガーを買った。で、ヘトヘトだったし、そんな遠くないしというので、ちょっとずるしてタクシーに乗った。
「匂いが籠っちゃうので窓開けますね」と言うと、「私ポテトの匂い好きですよ」と運転手さん。「でも次のお客さんのお腹が鳴りますよ」と言うと「じゃあお客さんを最後のお客さんにするから大丈夫です」と。
大変気のいい、恰幅もいい、薄毛のおじさんであった。おそらく50代前半。私を降ろしたら新宿のいきつけの中華屋に夕飯食べに行って、それから数時間仮眠をとって、夜にまたお客さんを乗せて、明け方まで勤務するそうだ。
「この仕事、オリンピックまでは続けようと思ってるんですよ。オリンピック終わったら退職して、新潟の地元に帰って、一人で焼き鳥屋でもやりますよ。うまい酒と、つまみも出す。自分で採ってきた山菜とかね。変な酔っぱらいが来ない様に、11時には店閉めちゃう。笑」
私、頭の中ではもうすっかり新潟の小さな焼き鳥屋の大将の女房であった。割烹着着て、運転手さんが採ってきた山菜炊いてた。「女将さん、大将とどうやって出会ったの」とカウンター越しにほろ酔いのお客。「東京でね、タクシーに乗ったんですよ…」菜箸で鍋の中の山菜つつきながら、はにかむ女将(私)。
……改めて振り返ってみると私の友人なんて全員が「友人の紹介」あるいは「仕事を通じて」という順当な手段で知り合った人たちでばかりなのある。順当な手段を経て、ものすごく会いたかった人に会えたという幸運には有り難いことに多く恵まれているけれども、一方で、ふと道ばたで肩がぶつかって「あ、ごめんなさい」「こちらこそごめんなさい」「……!」みたいな砂の中のダイヤモンドには32年間一度も出会ったことがなかった。なかったにも関わらず、いつだってこのように、袖振り合う全てのものがダイヤモンドである可能性を探ってしまうのである。
そんな調子で1日を過ごしているため、今日も順調にやるべき仕事が滞っています。
【お知らせ】年に2回くらいしか天ぷらを揚げない私ですが、天ぷらアドバイザーとして下記特集に協力しております。よっぴーさんとは色々なところで定期的にお会いしますが撮影に立ち会ったのは2度目(前回は札束風呂の撮影)。よっぴーさん、毎回体を張ることを厭わない、勇ましい男です。
【検証】これがグルメの新常識? 何でも「天ぷら」にしたら美味い説! - みんなのごはん
ところでこれは少し前に焼いたカンパーニュを真横にスライスして作ったピザトースト。カンパーニュをスライスするブームがきています。