セックスと宇宙とスペースシャトル
前回のセックスレスに関する記事は少し前のキャバクラ体験記に次ぐ大きな反響をいただいたのだが(私は一体何屋)そこで思わぬ男女の意識の差に直面することとなった。以下は読者の男性から寄せられたご意見である。
「セックスは大事なコミュニケーションです。だから週1回◯曜日に必ずやりましょう。」と学級活動よろしく面と向かって話し合いなんてやったら男はますます萎える。
…なるほどな、と。私はバランス重視の天秤座なのでこの問題についても男性、女性、どちらかに偏ることなくできる限りにフラットに扱おうと思っていたものの、キャバクラ体験時の結論といい、男性の本音についてやはりまだまだ洞察が足りないところが多々あるなと、大いに反省した。
そもそも一言でセックスレスと言ってみたところで夫婦の数だけ事情が異なるのだ。何が原因、何が解決策とそれぞれ1つを提示するのはかなり強引なことで、前回の記事自体、問題の表層を軽く撫でた程度の内容となっていることは認めざるを得ない。より丁寧に扱うためには「誰(夫/妻)」が「どのような状況にある」のかをきちんと定義した上で話を進める必要があった。(それでもかなり極論にはなるけれども。。)
そこでで今回は、“夫が妻とのセックスに対して以前ほど意欲的でなくなってしまっている場合”について考えてみたい。
冒頭のご意見を寄せてくれた読者の方曰く、妻とセックスについて真摯に話し合いをすればするほど「萎える」と言う。萎えるというのは、より勃たなくなるということだ。
そもそもセックスという行為、女性にとっては「受け入れる」ものだ。直接的な表現は避けるがたとえば身体的な特徴などによっては「超その気」にならなければ受け入れが難しいケースもあるかもしれない。しかし結婚して長く経っていて、かつ新婚当時はそこそこの頻度でセックスが行われていたような場合、おそらく、「超その気」とまではいかなくても、「そこそこその気」レベルで受け入れ体制事態は整うのではないかと思う。直接的な表現は避けるので察してください。
女性側の受け入れ体制が整った状況をここでは仮に「宇宙」とする。
一方で、男性がセックスに挑むには、衝動を強く駆り立て、それによって体の一部をも強く駆り立てる必要がある。その上で果敢にも突っ込む。男性にとってセックスは「突っ込む」行為である。これはすなわち青く美しい地球の姿を拝むべく、遥かなる宇宙空間へ勢い良く旅立つ行為。最早言うまでもないと思うが男性は探索船、スペースシャトルである。
夫と妻が出会った当初から新婚時代にかけてはおそらく、この宇宙飛行におけるエネルギーは探究心、好奇心、そして未知の領域を開拓したい願うあくなきパイオニアスピリットなどで構成されていたはずだ。二度、三度訪れてもなお新しい顔を見せてくれる広大な宇宙。ようやく知り尽くしたと思った瞬間に実はさらに先まで続いていることをちらつかせてくるにくらしい宇宙。この場所についてもっと知りたい…!虜になったスペースシャトルは危険を省みず何度となく宇宙空間に旅立つ。
しかしいくら宇宙が無限に広くとも、スペースシャトルがたどり着ける範囲なんて悲しいかな限られている。最初はあんなに驚きと喜びに満ちあふれていた宇宙も、だんだんと見知った土地になってくる。気がつけば月にばかりもう100回も行ってる、みたいなことになってくる。ああここにクレーターあったよな、ほらやっぱりあった、はぁ。発射の際のエネルギーとなるパイオニアスピリットを発揮する余地がなくなってくるので、自ずとスペースシャトルが飛び立たなくなってくる。
しかし広大な宇宙の気持ちを考えてみてほしい。途方もない静寂、漆黒の闇を内包し、宇宙は待っている。そこはかとない孤独から自分を救ってくれるスペースシャトルが再び「やあ」とやってきてくれることを。しかし時が経てば経つほどにスペースシャトルの足は遠のく。そこで業を煮やした宇宙はとうとうスペースシャトルに訴える。
「どうして最近来てくれないの?待ってるのに」
スペースシャトルが「ごめんね、最近行ってなかったね、これからはまた頻繁に行くようにするよ」なんて対話に応じれば、宇宙は久々に自分の存在を思い出してもらえたように感じて一瞬救われる。
しかしまさにこのときスペースシャトルは、長らく見て見ぬ振りをしていた宇宙と嫌が応にも対峙させられてしまうのだ。散々孤独に苛まれた末に、美しく魅力的だった漆黒の闇にいまや妙な凄みだけが増し、鬼気迫る悲壮感で訴えかけてくる宇宙。スペースシャトルは優しい言葉と裏腹に内心怯んでしまう。
「夫婦でセックスについての話し合いなんかすると余計萎える」という夫側の心理とは、おそらくこういうものではないだろうか。
前回の記事を読んでくれた男性の友人、知人らは「いや夫婦でセックスした方がいいのはわかってるからむしろその具体的なtipsを共有してほしい」と訴えてきた。(水面下で)(やはりこの問題は根深いなと実感した瞬間であった)
つまるところ男性達は、既にかなり深く見知った土地へ、再びスペースシャトルを発射させるための新たなるエネルギーを求めているのである。あるいは、既にかなり深く見知ったと思っていた土地に、再びパイオニアスピリットを喚起させる新たなる余地を求めているのである。
なんだかんだ宇宙にたどり着いたらそりゃ「ただいま〜」という安らぎは得られるだろう。しかしそれだけが目的では、悲しいかなスペースシャトルを勢い良く発射するに足るエネルギーにはなり得ないというのだ。
じゃあいったい世の中の男性達はそういう局面をどう乗り越えているのか。
リサーチを進めていく上で、女性としてはやや意外な方向からのアプローチなどが実例として挙げられてきているのだが、それについてはまた次回に。
【元となる記事】
ところでこれは先日焼いたあんパンとソーセージパン。
友人達と連れ立って早朝から出かけた際の朝ご飯として二種類焼いた。焼いたその日はふわふわと大変美味しかったのだが一日経つと固くなっていて残念だった。