山と海と星と動物。屋久島で自然にひれ伏した記録その1〜屋久島の宿編〜

つい先日、屋久島に行って来たのだ。
 
山、海、星、動物。物凄い体験をしたと思う。日本にこんなところがあったのかと思った。東京に戻ってきてからまだ日も浅く、全ての体験をきちんと総括できていないけれども、やはりこれを書かずして次に進めないなと思うので、ちょっとずつ整理しながら書いていこうと思う。セックスの話もおっぱいの話もでてきませんがお時間のある方はお付き合いください。

f:id:akikomainichi:20140825121330j:plain

f:id:akikomainichi:20140828084832j:plain

f:id:akikomainichi:20140828110124j:plain

※写真左下にいるのが人間です

 
手始めに今回は、屋久島の体験の中でも一番整理しやすいところ、最も人間の営みに近いところの、屋久島の宿について書きたい。
 
今回の旅、合計四泊して、前半二泊は屋久島グリーンホテルという屋久島空港から車で15分程のホテルに、後半二泊は送陽邸という、最近テレビで取り上げられたりして話題の、永田いなか浜に面する旅館に泊まった。
 
屋久島グリーンホテルで過ごした2日間、午後になると決まって停電した。島の電力は全て地元の電力会社が水力発電でまかなっているそうで、台風や大雨ではよく停電するらしい。しかし私たちが訪れたときには終始晴れ続きで、原因不明の停電ということだった。停電するとお湯も出ないのでお風呂にも入れず、白谷雲水峡で登山した帰りの、汗と泥まみれの状態でクーラーのない部屋に待機しているのはなかなか過酷だった。しかしホテルの人だって困ってるし、屋久島ではなんとなく不便さに反抗してはいけないような気になるので黙って耐えた。停電以外では特に不便なこともなく、従業員の人たちも親切な快適なホテルだった。車で10分くらいのところに、春日浜海水浴場という、波も穏やかで美しい魚が当たり前に泳いでいる海水浴場があるので連日通った。食事は、特に二日目に食べた鯖すき(トビウオの出汁で鯖の切り身を湯通しして食べる鍋料理)がとても美味しかった。
 
f:id:akikomainichi:20140831114042j:plainf:id:akikomainichi:20140831114131j:plain
 客室から見えた美しい朝焼け。
 
……で、旅の後半に泊まった送陽邸。ここはもう評判通り、これまで体験したことのないすごい宿だった。寺のような建物が崖の斜面に何棟か建っていて、それぞれ中は数部屋が連なる客室になっている。
 
f:id:akikomainichi:20140831114232j:plain
 
客室は襖でしきられている程度なので、廊下や隣の部屋で人がしゃべる音は筒抜け。(ただし部屋にはテレビも電話もないので隣の部屋の音は実際全然気にならない)布団も自分で敷く。客室にトイレはあるものの内風呂はなく、棟内でひとつを共有する。で、この棟にひとつの浴室の一面が、なんとむき出しの岩肌。ところどころ雑草も生えていた。すごい造りだなあと思っていたらもともとこの宿、林だった一体を切り開き、オーナーらが自分達の手で建てちゃったんだそう。サラリーマンからの転向、大工のプロでもなんでもないから建てた後に色々と法的な問題が出てきて調整も大変だったそうだ。それにしてもすごいセンス。要素だけ拾えば下宿みたいなものなのに、不思議と全くわびしい気持ちにならない絶妙なバランスなのだ。屋久島にはやっぱり島全体に厳かな雰囲気が漂ってて、どんなに海がエメラルドグリーンでも、森が青々としていても、大自然〜キャピ☆って気持ちにはならない敷居の高さがある(これについては後々具体的に書こうと思う)。だからこそここでは華美なリゾート、贅を尽くしたホスピタリティってしっくりこないしわざわざやってくる旅人もそんなの求めてない。……でも、やっぱり宿では最低限ほっとしたいし、くつろぎたい。そういう意味で送陽邸の形って、おそらく屋久島の宿としての最適解なのだろうと思ったのだった。
 
f:id:akikomainichi:20140831114445j:plain
隣の部屋の人とこんにちはできるバルコニー
 
f:id:akikomainichi:20140831114510j:plain
ウミガメが産卵しに来ることで有名な永田いなか浜を一望できる食堂
 
f:id:akikomainichi:20140831114535j:plain
 
屋久島最後の夜、海に沈む夕日を眺めながら食堂で食事をしていると、地元の焼酎とグラスを抱えたおじさんがおもむろにやってきた。「宿のおやじです」とおじさん。そう、このおじさんが、元は林だったこの土地に自らトンカチを持って宿を建てたオーナーだったのだ。一杯どうですか、といわれて私も焼酎のお湯割りをいただき、乾杯した。おやじさんは宿の歴史やポリシーを色々と話してくれた。
 
f:id:akikomainichi:20140831114756j:plain
娘撮影につきぶれていますが、おやじさんと私
 
おやじさんいわく、送陽邸では、料理にしても、内装にしても、とにかく飽きないものを作りたいのだそうだ。そうして、里帰りするみたいに、一度来たお客さんに「ただいま」と何度も帰ってきて欲しいのだと。
大人一人、一泊一万円という値段について、正直安過ぎるんじゃないですか?と尋ねたところ、まあいいじゃないですか、と笑いながら答えるおやじさん。なんという懐の広さ。翌朝このことをおかみさん、つまりおやじさんの奥さんに伝えたところ困ったように笑っていて、いい夫婦だなあと思った。
また屋久島を訪れるときがきたら、私も必ずや「ただいま」って言いながらここに帰ってきたい。
 
f:id:akikomainichi:20140831114844j:plain 
f:id:akikomainichi:20140831114909j:plain
f:id:akikomainichi:20140831114935j:plain
 
屋久島で自然にひれ伏した記録、次回に続く。
 
 
 
f:id:akikomainichi:20140830192033j:plain
 
……ところでこれは屋久島から戻ってきて焼いた食パンで作ったフレンチトースト。仕事を再会して以来、以前のような頻度でパンを焼けなくなってしまっていたけれど、文末に突如登場するパンについて有名ブロガーnarumiさんがお墨付き与えてくださったのでこれからもやっぱりパンを焼いていこうという気持ちを新たにした。