妙なプレッシャーはこわい。
19歳の、未成年のうちに親になってしまったので、わたしは残念なことに社会のことをあまりよく知りません。そんな頼りなさを見かねて、沢山の友人が、我が子達にたくさんの素晴らしい経験をさせてくれるので、本当にありがたいなぁとおもいます。
これまでも、プログラムや山登り、サブカルやフランス語など様々なプロから様々なレクチャーを受けてきた我が子達。今日は、お友達の安藤さんにペンキ塗りを教えてもらいました。
ローラーやハケの使い方を根気強く教えてもらって、3時間ほどできれいな緑の壁が完成しました。
せっかくの新居のペンキ塗りを子供たちにやらせてくれる安藤さんの気前の良さに、お母さんは感動しました。
また安藤さんのお宅は見晴らしが良く、風がすーっと通り抜ける、たいへん気持ちの良いところだったので、ペンキ塗りという労働をしに行ったにもかかわらずなんだかとてもリラックスしてしまいました。
安藤さん、ありがとうございました!
子供たちがたくさんの信頼できる大人と触れ合いながら育つことのできる環境。恵まれてるなぁ、ありがたいなぁとつくづく思います。
で、こんなラッキーな環境を維持するために、じつはひとつだけ私、心がけていることがあるんです。それは、すごく変な話ですけども、端的に言うと、決して新しいお父さんを探しているわけじゃないから心配しなくても大丈夫だよ!というアピールを欠かさないことです。
うちみたいに複雑な家庭の事情がなぜか比較的幅広く知れわたっていると、特に男性の友人たちとの関係において、決して自分にそんなつもりはなくとも、なにか妙なプレッシャーを与えかねないと思うんです。しかし、子供たちはまともな男性から学ぶべきことが沢山あるので、私たち家族にとって、大人の男性の存在はとても貴重です。なので私は、子供たちに良くしてくれる男性の友人たちの前ではつとめて「子供たちのお母さん」としてあるように心がけておりますし、さらに「今子供たちに優しくしてくれたからってこのままお父さんになって欲しいなんて思ってないから大丈夫ですよ!」というオーラを絶えず全身から放つようにも気をつけています。
。。にも関わらず、今日息子がペンキ塗りを教えてくれた安藤さんに突如「新しいゲーム買ってよ〜、お父さん。」と言ったので瞬時に場の空気が凍り付きました。
お母さんは色々頑張ってこんな恵まれた環境を維持してるというのにおまえは一体何を言い出すんだと私は内心卒倒し、安藤さんは安藤さんで「俺、結構会話の切り返しうまい方だと思うけど、一瞬言葉が出なかったわ。。」と空中を見ながら絞り出すように呟きました。
今あらためて思うと、息子はあのシーンでおそらく「シャチョさん」と言いたかったんです。欲しいものを買ってもらうために相手をおだてる言葉を用いたかったんです。私は親だからわかる。親だからわかるんです。ところが、シャチョさんはいかんせん昭和過ぎて、そんなニュアンスを伝える言葉があるということだけを漠然と知っていながらも、それがなんという言葉だったのか肝心なところを思い出せず、結果として最も不適切な単語を代用してしまったんです。
。。という釈明すら空虚に響くほど、妙なプレッシャーってものは相当に罪な存在なので父親の影が薄い子育てに励む全国のお母さんのみなさんには十分ご注意いただければと思いますし、わたしはこれから息子に昭和の言葉を正しくレクチャーしてきます!