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子供の育てた子供

ある日、息子のスマホにやたらメールが届くので何事かと尋ねたところ「今日、◯◯(クラスの友達の名前)が親にスマホ買ってもらったらしくて。嬉しくて何通もメール送ってくるんだよ、あいつ可愛いとこあるよ」とお父さんのように目を細めながら言うので我が子ながらなんて懐の深いやつだと思った。


3月産まれの息子は幼稚園に入園したときも、小学校に入学したときも、クラスの中で最も幼い状態だった。あわせて、19才のときに息子を出産した私もまた、クラスの母親達の中で決まって最も幼い母親だった。

大人になるというのは、人と違う自分がみんなと同じであると理解すること。自尊心を保ちながら協調できることだ。逆にまだ幼い段階では、自分への理解、自分と社会との関わり方が、そのどちらかに大きく偏っている。私の場合は両親にとても愛されて育ったので、自分が人と違う存在だという認識は強く持っていたけれど、社会とうまく繋がる術を身につけていなかった。だから息子が生まれてすぐの頃はとにかく家に引きこもっていた。外に行くと何があるかわからない!危険がいっぱいに思えた。実際その頃は当時の家業の関係で、ネットに「トカレフ持って押し入ってやる」とか書き込まれたりしていたし、また2chの育児板を読み込み過ぎて、世の中子供に対してかくも冷酷な人ばかりかと思ったこともその一因だった。

しかし息子が育つにつれ、息子とともに私もまた幼稚園で、学校で、社会との付き合い方を学んだ。自分の子の命と幸せを守るために、日々こんなにもヒリヒリしているのが自分だけではないのだと知ってとても安心した。自分の子に特別な愛情を注ぎながら、その子が社会と繋がる第一歩を踏み出す後押しをする。覚悟と勇気のいる作業だったけれど、思えば息子を育てるために経たプロセスは、そのまますべて、私が大人になる上で必要なことだったのだ。

多くの先輩が、親もまた子に育てられると言う。子供が子供を育ててきた身として、それは紛れもない真実だとつくづく思う。

息子は先日小学校を卒業し、4月からは中学生になる。
苦しみや恐怖が無数に存在する世の中の一片を子供なりに知り、それでも毎日楽しんで生きていてくれること。
「お前のパソコンの検索履歴は全部見てるからな!」「俺ちゃんと履歴消去してるから全然問題ない」といった会話を交わすことができる今日が訪れたこと。
本当に嬉しく思う。

私は息子のお母さんになれてとても幸せだ。

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